Number.12
住民みんなで考える、未来の住まい
イギリス・ロンドンのコーポラティブハウス

COOPERATIVE HOUSE JOURNAL
2019/06/25

今回から2回に渡って、ヨーロッパのコーポラティブハウス関連の最新事情をお届けします。第一回は、イギリスの首都ロンドンです。ロンドンでは、 フラットハウス(日本のマンションに相当するする集合住宅)の平均購入価格が 42万ポンド(約5700万円)と、家を手に入れるだけでもハードルが高い状況です。

そんな厳しい住宅事情の中でも、近年“Communitey-Led Housig(コミュニティ・レッド・ハウジング)”という家づくりのアプローチが広がっています。これは、新しい集合住宅を建てる際に、将来の居住者や地域住民の意見を取り入れながら計画を進める活動です。コミュニティ・レッド・ハウジングを主導する団体は、計画の支援だけでなく、ワークショップなどを通した広報活動も行っています。
あるイベントでは、参加者が公園の芝生広場でランチを楽しみながら、理想のコーポラティブハウスのイメージを地図に書き出していました。

コミュニティ・レッド・ハウジングの中でも特徴的な事例の1つに、50歳以上の独身女性のための集合住宅“Older Womens Co-Housing(オールド・ウーマン・コ・ハウジング)”があります。これは、女性の住宅支援を行うNGOの参加者を中心に計画が始まり、2016年に完成した3階建・26戸の集合住宅です。イギリスでも先進的な事例として、数々の賞を受賞しています。

ベランダは階ごとに位置をずらして配置する事で、隣とは独立しつつも互いの顔が見え、自然と会話ができる距離になっています。

ガーデニングが盛んなイギリスらしく、1階の庭では、住人が色とりどりの花を育てていました。

更に、庭とは別に農園や温室まであります。住人には割り当てられた花壇もありますが、共同で育てているエリアがほとんどでした。

コミュニティ・レッド・ハウジングの活動を通して、住民が自分のまちの将来を定期的に話す場が、少しずつ広がりつつあります。

※この連載は、大阪市の上町台地で配布されている地域情報誌「うえまち」にて連載しているものを加筆、再構成したものです。